イギリスの田舎を走る旅2017 Day2 モートン=イン=マーシュ

コッツウォルズラインを南へ

チッピングカムデンのマーケットホール横で補給した後、またサイクリングロード”コッツウォルズライン”に戻りました。町を出ると、人も車もあまり見かけず、すぐに大自然の中に放り込まれる感じです。

(写真)牧草地に馬が・・・

コッツウォルズの丘陵の眺め。こんな景色が延々と続きます。風が強くて、雲の流れが早い一日で、この後何回も通り雨に遭いました。本当に天候が変わりやすいので、レインウェアは必携です。それと、同時期の日本より確実に寒いです。

(写真)コッツウォルズのダイナミックな眺め

チッピングカムデンからそれほど遠くないので、すぐにモートン=イン=マーシュに到着。この町自体、なにか特別なものがあるわけじゃないですが、グレート・ウェスタン・レイルウェイ(GWR)の駅があるので、鉄道を使ってコッツウォルズに来る場合、ここを起点にするのもありかも。ストウ=オン=ザ=ウォルドやボートン=オン=ザ=ウォーターといった人気の観光地に近いです。少し休んでいると、かなり強めの通り雨。屋根の下でやり過ごし、雨上がりにストウ=オン=ザ=ウォルドに向かいました。

(写真)モートン=イン=マーシュはA429号が町の中心を通る

コッツウォルズは海底が隆起して、その後氷河が溶けてできた川によって浸食された丘陵地帯。体積した石灰岩は加工がし易く、耐久性に優れているので、コッツウォルズ一帯の建物に使用されています。見るとすぐわかりますが、独特の蜂蜜色をしているのでハニー・ストーンとかコッツウォルズ・ストーンと呼ばれています。チッピングカムデンは町全体が蜂蜜色でしたけど、自転車で北から南に走ると、だんだん色が薄れていくようで、町や村ごとの雰囲気や印象が少し違ってきます。ここモートン=イン=マーシュの建物はまだ色が濃いかな。南に行くほど石灰岩に含まれる不純物が少ないことが理由だそうで、世界遺産登録されているコッツウォルズ南部にあるバースは街全体が白くて、同じ石灰岩でも、こちらはバース・ストーンと呼ばれています。

ローマ街道Fosse Way

モートン=イン=マーシュの中心をまっすぐ伸びるA429号線。このA429号線こそ紀元1世紀にローマ人が作ったローマ街道です。3D写真でモートンインマーシュの南から俯瞰すると、Fosse Wayが真っ直ぐに伸びています。イギリスに張り巡らされたローマ街道のそれぞれのルートの元の名前は、資料が残されておらず、分かっていないんだそうですが、唯一Fosse Wayだけがラテン語由来で昔からの呼び名。Fosseは溝という意味だそう。

Fosse Wayはただ真っ直ぐなだけではなく、イングランド北東部のリンカーンから南東部のエクセターまでを繋ぐ道路で、長さは370km。ローマ街道が最初に敷設される目的は軍用なので、目的地まで効率的に軍が移動できるよう、最短距離で造られます。幹線道路は、車道の幅が4m、左右の歩道がそれぞれ3mの合計10m、排水機能を持った石造りで、4層構造の道路にすることが古代ローマ帝国の基準だったようですが、Fosse Wayは道幅が5m前後だったとのこと。ローマによって作られた道路は、18世紀になるまで舗装された高速道路の役割を担ったそうです。

Wikipediaよりローマ街道の構造

この道路上にある主な場所は、リンカーン、レスター、サイレンセスター、バース、イルチェスター、エクセター。ちょうどイングランド南東部から上陸した古代ローマ軍が北、北西、西の全ての方面に進軍し、その前線となった場所を一直線で結んでいます。現在のコッツウォルズにあるサイレンセスターはローマ軍の大駐屯地だった場所で、いくつものローマ街道が集まる交通の要衝、当時のイングランドでも2番目に大きな都市だったそうです。イギリスの町の名前で、サイレンセスター、レスター、グロスターのように、語尾に~チェスター、~カスター、~セスターとつく町は、すべて当時ローマ軍の駐屯地や基地であったことが由来です。