投稿者: てつたろeurotraveler

  • ビーゴ 観光 & サイクリングガイド

    ビーゴ 観光 & サイクリングガイド

    Spain · Vigo

    大西洋に抱かれたガリシア最大の港湾都市

    ビーゴという街

    ビーゴ(Vigo)はスペイン北西部ガリシア州ポンテベドラ県の最大都市で、ガリシア州最大の自治体人口を持つ都市。大西洋に面したリアス式海岸の奥深くに位置し、スペイン最大の漁業港を持つ水産業の中心地でもあります。街の歴史はケルト人の時代まで遡ります。現在「モンテ・オ・カストロ」と呼ばれる丘の上には、青銅器時代後期から鉄器時代にかけてのケルト系民族の集落跡(カストロ)が残っており、円形・楕円形の石造り住居の基礎、防壁、古代の道路、そして岩絵(ペトログリフ)が発掘されています。ローマ時代にはウィクス(Vicus)と呼ばれ、ラテン語の「村・集落」を意味するこの名がビーゴの語源となりました。

    中世から近世にかけてのビーゴは、大西洋に開かれた港ゆえに繰り返し外敵の侵略を受けました。16世紀末にはフランシス・ドレーク率いるイングランド艦隊の攻撃を受け、1702年にはスペイン継承戦争中に沖合でイギリス・オランダ連合艦隊とフランス・スペイン艦隊が激突した「ビーゴ湾海戦」が起き、伝説では今も湾底に金銀財宝が眠るといわれています。それでも街は交易港として復興を繰り返し、19世紀以降は漁業と罐詰産業の発展によって急速に近代化。現在はガリシア州の経済・産業の中心として、世界有数の漁業港・輸出港の地位を保っています。

    自転車旅においてビーゴはEuroVelo 1(大西洋岸ルート)の通過点に位置し、南のトゥイ(ポルトガル国境)から北のサンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く沿岸ルートの重要な拠点です。国際空港もあり、ガリシア全域へのアクセス拠点としても機能します。

    観光スポット

    港、旧市街、丘の城塞跡、そして沖合の島まで、ビーゴの見どころは街の内外に広がっています。2〜3日あれば主要スポットを余裕をもって巡れます。

    旧市街

    カスコ・ヴェッロ(旧市街)と牡蠣の街角

    石畳の細い路地に伝統的なガリシア建築が並ぶ旧市街は、港のすぐ背後の丘に広がっています。なかでも「ルア・ダ・ペドラ(石の通り)」は必見で、通り沿いに露天の牡蠣売りが並び、地元の人々が路上でそのまま牡蠣を食べる光景は、ビーゴの日常そのもの。ビーゴの牡蠣はリア(入り江)の豊かなミネラルを吸収したブランド品で、ここほど新鮮に食べられる場所はありません。旧市街の中心にはサンタ・マリア共同大聖堂もあります。

    ケルト遺跡・城塞

    モンテ・オ・カストロとカストロ城塞

    市街地の中央に位置する小高い丘。頂上にはケルト時代の集落跡(カストロ)と、その後に築かれた城塞(カストロ要塞)が残っています。要塞内は公園として整備されており、ビーゴ港、リア・デ・ビーゴ(入り江)、晴れた日にはシーエス諸島まで一望できる絶景スポットです。ケルト時代の円形住居の石積みや古代の道が丘の各所に残り、歴史と眺望を同時に楽しめます。街の中心から徒歩で登れます。

    島・国立公園

    シーエス諸島(Illas Cíes)

    ビーゴ港からフェリーで約45分。ガリシア大西洋諸島国立公園に属する3島からなる群島で、かつてローマ人が「神々の島々(Insulae Deorum)」と呼んだ手つかずの楽園です。エメラルドグリーンの海に囲まれた白砂のロデイラ・ビーチは、ヨーロッパでも指折りの美しいビーチのひとつ。島内は自動車乗り入れ不可で、年間の入島者数も制限されています(事前予約推奨)。ハイキングコースからは大西洋とポルトガル海岸が見渡せます。

    博物館

    ムセオ・ド・マル(海洋博物館)

    リア・デ・ビーゴに面したアルカブレ地区に立つ海洋博物館。著名建築家アルド・ロッシ設計のミニマリストな白い建物が海岸線に映えます。古代の難破船から地元漁業の変遷、クジラの骨格標本まで、ビーゴと海の歴史を深く掘り下げた展示が充実。海に向かって広がるパノラマテラスからの眺めも必見です。

    ビーチ・公園

    サミル・ビーチとカストレロス公園

    街の西側に広がるサミル・ビーチは、ヤシの木が並ぶ砂浜と沖に見えるシーエス諸島のシルエットが美しい市民ビーチ。夏は海水浴客で賑わい、海岸沿いのサイクリングロードも整備されています。一方、街の南部にあるカストレロス公園は、旧ガリシア貴族の邸宅(パソ)を中心にフランス式庭園が広がる緑の憩いの場。邸宅内にはキニョーネス・デ・レオン博物館があり、装飾美術と郷土史の展示が充実しています。

    街道や古道

    ポルトガル・カミーノの海岸ルート(Caminho da Costa)はビーゴを通過し、北のポンテベドラ、パドロン経由でサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かいます。ビーゴの旧市街や港周辺には巡礼路の道標(黄色い矢印や貝殻マーク)があり、サンティアゴまでは約130km。海沿いの風景が続く海岸ルートは、内陸を通る中央ルートより距離は長いものの、リアス式海岸の絶景が楽しめるため人気が高まっています。

    ビーゴの名前の由来はラテン語の「ウィクス(Vicus=村・集落)」。ローマ時代にはアウグスタ街道網の一部として半島北西部の港と内陸が結ばれており、ビーゴはその沿岸拠点のひとつでした。モンテ・オ・カストロ周辺の発掘では、ローマ時代の建造物跡も確認されており、ケルト、ローマ、中世と幾層もの歴史が重なっています。

    料理とお酒

    スペイン最大の漁業港を持つビーゴの食は、まず海鮮ありきです。定番はプルポ・ア・フェイラ(タコのパプリカ&オリーブオイルがけ)、ナバハス(カミソリ貝のグリル)、アメイハス・ア・ラ・マリネーラ(アサリのワイン蒸し)、カルド・ガジェゴ(青菜とチョリソのスープ)。そして旧市街の路上で食べるビーゴ産生牡蠣は、ここでしか味わえない体験です。

    FOOD

    ビーゴの路上生牡蠣(Ostras frescas de Vigo)

    ビーゴ旧市街のプラサ・ダ・ペドラ(石畳の広場)では、「オストレイラス」と呼ばれる女性たちが小さな屋台で生牡蠣を販売しています。リア・デ・ビーゴの清冽な海水で育った牡蠣はミルキーで潮の香りが豊かで、レモンを絞って殻ごとその場で食べるのがビーゴ流。値段は1個あたり1ユーロ前後と手ごろで、観光客も地元民も同じように立ち食いを楽しみます。新鮮な生牡蠣と一緒にアルバリーニョのグラスを傾けるひとときは、ビーゴでしか体験できない食文化です。

    ビーゴを含むリアス・バイシャス(Rías Baixas)D.O.はスペイン白ワインの最高峰産地。アルバリーニョ種100%の辛口白は、柑橘・桃・花の香りに豊かな酸とほのかな塩気を持ち、ガリシアの海産物と完璧に呼応します。ビーゴ周辺のワイナリーはリア沿いに点在しており、自転車で巡るワイナリーツアーも楽しめます。

    WINE

    アルバリーニョ(Albariño)— リアス・バイシャス D.O.

    大西洋の湿った風と花崗岩質土壌が生む、スペイン屈指の白ワイン品種。ビーゴ周辺のリアス・バイシャスは特にアルバリーニョの銘醸地として知られ、国際的なワインコンクールでも繰り返し上位に入賞しています。牡蠣・タコ・貝類など、ビーゴの食卓に並ぶ海産物との相性はまさに地産地消の理想形。地元のバルでグラス一杯を頼むだけで、ガリシアの食文化の豊かさを実感できます。

    お祭り

    近年、ビーゴは「スペインのクリスマスの首都」として名を馳せています。毎年11月末から1月初旬にかけて市内全域を覆う壮大なイルミネーションは、スペイン国内はもちろん国外からも多くの観光客を集め、ニューヨークのロックフェラーセンターを超えるとも評される規模。主要会場となるプリンシペ通りや港周辺の光のアーケードは圧巻で、ガリシアの冬の名物イベントになっています。

    ガリシアはスコットランドやブルターニュと並ぶケルト文化圏のひとつで、バグパイプに似た「ガイタ(gaita)」という管楽器が今も祭りや行事で演奏されます。夏には各地でケルト音楽フェスティバルが開かれ、ガイタの音色と地酒アルバリーニョが合わさる野外祭りはガリシアの夏の原風景です。ビーゴでも市内各所でガイタ奏者の演奏に出会えることがあります。

    サイクリング

    EuroVelo 1が通過する沿岸都市として、ビーゴはガリシアのサイクリング拠点のひとつです。港周辺の海岸線から丘の上の遺跡まで、地形の変化に富んだライドが楽しめます。

    ROUTE 1 · 約 20 km

    海岸線ポタリング:サミル・ビーチ〜港

    サミル・ビーチからビーゴ港まで、リア・デ・ビーゴに沿った海岸サイクリングロードを走る平坦なポタリングコース。沖に浮かぶシーエス諸島を左手に眺めながらのライドは爽快。海洋博物館の前を通り、旧市街の港エリアで牡蠣を食べながら一息つくのが定番の楽しみ方です。

    ROUTE 2 · 約 35 km / 獲得標高 500 m

    モンテ・オ・カストロ〜カストレロス公園ループ

    旧市街を出発し、城塞跡のあるモンテ・オ・カストロに登り眺望を楽しんだ後、街の南側に広がるカストレロス公園まで丘を縫うように走るルート。アップダウンがあるが距離は適度でガリシアの街なかの立体感を体感できます。カストレロス公園では木陰のベンチで休憩。

    ROUTE 3 · 約 30 km(片道) / EuroVelo 1

    EuroVelo 1 南下:ビーゴ → トゥイ(ポルトガル国境)

    EuroVelo 1に乗ってビーゴから南のトゥイへ。ミーニョ川沿いの田園地帯とガリシアの小さな村々を繋ぐルートで、最後はトゥイの国際橋を渡ってポルトガルへ国境越え。比較的フラットでビーゴからの日帰りサイクリングにも向いています。トゥイで昼食(ランプレアかガリシアタコ)を食べて折り返すのが定番です。

    EuroVelo 1(大西洋岸ルート)がビーゴ市街を通過します。南はトゥイ経由でポルトガルへ、北はポンテベドラ、パドロンを経てサンティアゴ・デ・コンポステーラへ。さらにサンティアゴからフィステーラ(地の果て)まで続く、大西洋岸を縦断するヨーロッパ最長クラスのルートです。ビーゴ・ピニェイロ駅からRenfe近郊線を使えばポルト方面やサンティアゴへの輪行も可能です。

    アクセスと交通

    ビーゴ・ピンベイロ空港(VGO)は市街地から約9km。タクシーで約15〜20分、バスでも市内へアクセスできます。国内線(マドリード・バルセロナ・ビルバオ等)に加え、一部ヨーロッパ路線も就航しています。ポルトガルのポルト空港(OPO)からはバスで約1時間半〜2時間でビーゴへ到着でき、格安移動の選択肢としても有用です。自転車の持ち込みは航空会社の規定に従い、輪行袋に入れて受託手荷物として預けるのが基本です。

    ビーゴには「ビーゴ・グランデ駅」と「ビーゴ・ウルサイス駅」の2つのRenfe駅があります。ビーゴ・グランデからはAVE(高速鉄道)でマドリードへ約4時間。サンティアゴ・デ・コンポステーラへはRenfe近郊線で約1時間10分。近郊列車は折りたたみ不要で自転車をそのまま持ち込め、時間帯制限もほぼありません。ポルトガルへはビーゴ・グランデ発のバス(ALSA等)が頻発しており、ポルトへ約1時間半です。

    市内バス網が整備されており、サミル・ビーチや海洋博物館方面へも路線バスでアクセスできます。旧市街と港周辺は徒歩が基本で、モンテ・オ・カストロへは歩いて登れます。シーエス諸島へのフェリーはビーゴ港から夏季(概ね6〜9月)を中心に運航。繁忙期は乗船チケット(入島許可証)の事前予約が必須で、島への入島者数が制限されています。

    ベストシーズン

    春(4〜6月)と秋(9〜10月)がサイクリングと観光の両方に最適。気温15〜22℃で、緑のガリシアが最も美しい季節です。夏(7〜8月)はシーエス諸島のビーチシーズンで賑わいますが、ビーゴ市街は比較的過ごしやすい気温(25℃前後)を保ちます。島への入島チケットは夏の繁忙期は数日前から埋まるため早めの予約を。冬(11〜1月)はクリスマス・イルミネーションの時期で街が特別な雰囲気に包まれます。降雨量の多いガリシアでは、春秋でも雨具の携帯が必須。ただし「緑のスペイン」の恵みはこの雨がもたらすものでもあります。

  • 2014 ライン川とアルザスワイン街道 Day1 ドイツ コブレンツ

    TRAVEL · 2014

    初めてのヨーロッパ自転車旅

    2014年9月13日、ついにドイツにやって来ました! ほぼ定刻通りの16:10にフランクフルトに到着。天候は曇り、気温は18度なので、残暑の日本から来た身にはちょっと肌寒いくらい。入国後、空港からドイツ鉄道に乗って、自転車旅行のスタート地点に選んだコブレンツまで移動しました。

    フランクフルトまで輪行

    利用した航空会社はJAL。ロードバイクは預け入れ荷物として輪行したので、入国審査後、他の荷物とともに受け取りました。輪行は普段から使っていたオーストリッチの輪行袋に入れただけ。一応ディレイラーなどはエアクッションで包んだけでちょっと心配だったけど、なんとかなるもの。後から考えればよく輪行袋で運んだなーと思いますが笑

    ただ、やはりというか、帰国便ではフレームに傷がついていました。でもそれだけで済んでよかった。

    自転車を受け取った後は、荷物と一緒に2ユーロのデポジットで借りられるカートに載せて、第1ターミナルに直結するフランクフルト空港遠距離駅Frankfurt (Main) Flughafen Fernbahnhofへ移動です。

    さすがフランクフルト。ヨーロッパの経済・金融の中心で2014年の空港乗客数はヒースローやド・ゴールに次いで世界大11位だけあって、空港の規模も大きく、第1ターミナルに移動するのも大変。広さよりは、カートに自転車を載せての移動だと自転車の大きさのせいで、エスカレーターやエレベーターに乗れないところが多く、まっすぐ行けないので思っていたより空港内の移動が大変でした。第1ターミナルと第2ターミナルを結ぶSkylineはカートを載せられないので、一旦カートを返し、乗るときに荷物と自転車を自分で運び、第1ターミナルで降りたときにまたデポジットを払ってカートを借りる必要があったのが意外と面倒。大荷物のときは要注意です。

    JALは第2ターミナルに到着しますが、ANAはスターアライアンスメンバーなので、ルフトハンザ航空が発着する第1ターミナルに着くので、ドイツだったらANAのほうが便利ですね。

     

    ドイツ鉄道でコブレンツへ

    飛行機の次は、ヨーロッパぼっちライドのスタート地点に決めたコブレンツまでドイツ鉄道で輪行です。フランクフルト空港駅から鉄道の駅へと移動しないといけないですが、フランクフルト空港には近距離駅と遠距離駅の2つがあるので注意。コブレンツ行きは遠距離駅から乗ります。第1ターミナルを出て案内表示に沿って進めば迷うことはありません。

    鉄道は出発前に日本で事前予約していたので購入で困ることはありませんでした。スマホアプリか紙に印刷したバーコードを車内で車掌さんがチェックするだけです。ちなみに、ドイツでは改札はないので、そのままプラットホームに下りて乗るだけ。

    鉄道は余裕を持った時間で予約をしていたので夕暮れの中、ライン川左岸を西へ。車窓の外にはドイツの街並みやライン川を行き交う客船や貨物船が見えて、やっとヨーロッパに来たんだなと実感!

    翌日から走ることになる河岸を目で追っていると、マインツを経由して1時間10分程でコブレンツに到着。まだ明るくてよかった。

    駅からはバックパック、輪行バッグ、荷物を入れた防水バッグを持って、事前に予約しておいたホテル(Hotel Hamm)までなんとか移動。無事チェックインできてほっと一息。

    部屋で荷物を解いてほっと一息というところですが、時間はまだ20:00前。食事は機内食で十分だったので、ホテルのすぐ横にあるバーに入ってビールで一人乾杯。おばちゃんがビール注いでくれたなぁ。あの店まだあるかな。

    ホテルに戻った後、オーストリッチの輪行バッグから自転車を取り出し組み立てましたが、ディレイラーの調子もよく、タイヤもスムーズに回ったので自転車はこれで大丈夫。とはいえ、なんせヨーロッパの自転車ライドは初めてなので、高揚感とちょっとした不安の中で就寝しました。

    いよいよEuroVeloだ!

  • トゥイ 観光 & サイクリングガイド

    トゥイ 観光 & サイクリングガイド

    Spain · Tui

    ミーニョ川とサンティアゴ巡礼路が交わる国境の聖地

    トゥイという街

    トゥイ(Tui)はスペイン北西部ガリシア州ポンテベドラ県の小都市で、ポルトガルとの国境を流れるミーニョ川沿いに位置しています。人口は約17,000人ほどの小さな街ですが、その歴史は古く、ローマ帝国時代にはすでに要衝として機能していました。ローマ撤退後はスエビ族、ヴィジゴート族が支配し、8世紀にはアラブ人の侵攻を受けたのち、アルフォンソ1世によって再征服されました。中世にはガリシア・ポルトガル王国の重要な司教座都市として栄え、川を渡ればすぐポルトガルという地理的位置から、常に文化と交易の接点となってきました。

    ミーニョ川(ポルトガル語ではミーニョ、スペイン語ではミーニョ)は、スペインとポルトガルの最後の約80kmで両国の国境を形成します。対岸に見えるのはポルトガルの要塞都市ヴァレンサ(Valença)。2つの街は1884年に建造された国際橋(Puente Internacional)で結ばれており、この鉄橋はエッフェル塔を設計したエッフェルの会社が手がけた作品です。橋の上を渡るだけで国境を越えられるというのは、自転車旅行者には特別な体験になります。現在は2本の橋が並行して架かっており、古い橋は歩行者・自転車専用として使われています。

    自転車旅においてトゥイは特別な意味を持ちます。2026年4月、EuroVelo 1(大西洋岸ルート)がポルトガルからガリシア州へと延伸され、その起点がトゥイとなりました。フィステーラ(コルビョン岬)までの537kmが新たに加わり、トゥイはヨーロッパ最大規模の自転車ルートのスペイン側ゲートウェイとして機能しています。

    観光スポット

    コンパクトな旧市街に歴史が凝縮されています。半日あれば主要スポットを歩いて巡ることができます。

    大聖堂

    サンタ・マリア大聖堂

    1120年に建設が始まったトゥイのシンボル。ロマネスク様式を基調としつつ、正面ファサードはイベリア半島最初期のゴシック建築(13世紀初頭)のひとつとされています。ガリシアの大聖堂の中で唯一、中世のクロイスター(回廊)がほぼ完全な形で残っており、石造りのアーチが連なる空間は静寂そのもの。旧市街の丘の頂上に建ち、ミーニョ川とポルトガル側のヴァレンサ要塞を見渡す眺望も見事です。

    旧市街

    カスコ・アンティグオ(旧市街)

    石畳の坂道と石造りの家々、アーチ型のトンネル路地が連なる中世の旧市街。巡礼路の通過点でもあるため、道標の黄色い矢印があちこちに描かれています。かつてのユダヤ人街(ジュデリア)の痕跡も残り、スペインの中でも珍しいユダヤ遺産の再発見に取り組む3都市のひとつに選ばれています。大聖堂を中心に坂を下りながら歩くと、自然とミーニョ川沿いへ出ます。

    国際橋

    プエンテ・インテルナシオナル(国際橋)

    1884年竣工、エッフェル塔を手がけた会社が設計した鉄橋。現在は歩行者・自転車専用として開放されており、橋を渡るだけでスペインからポルトガルへ国境越えできます。橋の上からミーニョ川の両岸を見渡す景色は格別で、対岸のヴァレンサ要塞の白い城壁が正面に迫ります。サイクリストにとっては、EuroVelo 1のポルトガル区間とスペイン区間を結ぶ文字通りの「橋渡し」です。

    自然公園

    モンテ・アロイア自然公園

    トゥイの北側に広がる標高700mほどの山。ガリシア州最初の自然公園に指定されており、松とユーカリの森の中にトレイルが整備されています。山頂付近にはケルト時代の城塞跡(カストロ)が残り、晴れた日にはポルトガルの山々まで見渡せます。街から自転車で登ることも可能で、サイクリングとハイキング両方で楽しめます。

    街道や古道

    リスボンからサンティアゴ・デ・コンポステーラへと続く約610kmの巡礼路「カミーノ・ポルトゥゲス(ポルトガルの道)」は、トゥイを通過します。ポルトを出発した巡礼者たちが国際橋を渡ってスペイン入りする最初の街がトゥイであり、サンティアゴまで残り約120km地点に位置します。「巡礼証明書の取得に必要な最低100km」の要件を満たすため、トゥイから歩き始める巡礼者も多く、早朝から黄色いリュックを背負った人々が旧市街の石畳を歩く姿が日常的な光景です。

    自転車での巡礼(ビシグリーノ)も盛んで、カミーノの自転車版では最低200km(ポルトガルの道の場合)が証明書取得条件となるため、ポルト出発が目安になります。なだらかな丘が続くガリシアの田舎道は、歩き巡礼者と自転車巡礼者が共存しており、道標の黄色い矢印を辿るだけで迷わず進める整備された環境が魅力です。

    料理とお酒

    トゥイの食はミーニョ川と切り離せません。川で獲れるウナギ(ウナギの稚魚アンギュラスを含む)、ナマズ、そして最も名高いのがヤツメウナギ(ランプレア / Lamprey)。ランプレアは日本ではほぼ知られていませんが、ガリシアでは冬から春にかけての季節の珍味で、最も伝統的な調理法は自身の血を使って煮込む「ランプレア・ア・ラ・ボルダレサ」。鉄分が豊富で独特の濃厚な味わいがあります。

    FOOD

    ランプレア・ア・ラ・ボルダレサ(Lamprea a la bordelesa)

    ヤツメウナギを自身の血と赤ワインで煮込んだガリシアの伝統料理。ヤツメウナギは円口類(顎を持たない古代魚の一種)で、見た目は少々衝撃的ですが、濃厚でコクのある風味は一度食べると忘れられないと評される珍味。旬は1月〜4月ごろ。トゥイ市内のレストランでは、この時期になるとメニューに並びます。また、修道院(クラリッサ会)のシスターたちが作るアーモンドを使った焼き菓子「ペイシーニョス・デ・アメンドア(小魚型のアーモンド菓子)」も名物です。

    トゥイが属するリアス・バイシャス(Rías Baixas)はスペインで最も評価の高い白ワイン産地のひとつ。アルバリーニョ(Albariño)種を使った辛口白ワインは、柑橘系の香りとミネラル感が特徴で、川魚や魚介との相性が抜群。2025年にワイン専門誌のスペイン最優秀白ワイン産地に選ばれるなど、国際的な評価も急上昇しています。

    WINE

    アルバリーニョ(Albariño)— リアス・バイシャスの白

    ガリシアの霧雨と大西洋の潮風が育てたアルバリーニョは、グレープフルーツや桃の香りにほどよい酸味と塩気が乗った辛口白。ランプレアの煮込みや川魚のグリル、ガリシアのタコ料理(プルポ・ア・フェイラ)との組み合わせが特に秀逸。リアス・バイシャスのワイナリーはトゥイから北東方向に数十kmのエリアに集中しており、自転車でのワイナリー巡りも可能です。

    サイクリング

    EuroVelo 1のスペイン側起点として、トゥイは長距離サイクリストの重要な拠点です。国際橋を渡ってポルトガルへ、または北上してガリシアの大西洋岸を目指す分岐点に位置しています。

    ROUTE 1 · 約 5 km

    国際橋を渡ってヴァレンサへ

    国際橋(歩行者・自転車専用)を渡ってポルトガルのヴァレンサへ。ヴァレンサは城壁で囲まれた要塞都市で、旧市街へ自転車でそのまま乗り入れられます。国境を往来するだけでも、2国間の景色の違いが感じられる短いが特別なライド。ミーニョ川沿いの川岸を少し走ってから橋へアプローチするのがおすすめです。

    ROUTE 2 · 約 30 km / 獲得標高 400 m

    モンテ・アロイア登坂ループ

    旧市街からモンテ・アロイア自然公園を経由して山頂展望台を目指すルート。松とユーカリの香りが漂う森の中を登り、ケルト時代の城塞跡で一息。晴れた日には眼下にミーニョ川とポルトガルの山並みが広がります。下りは別ルートでトゥイ市街へ戻るループが気持ちよい。

    ROUTE 3 · 約 120 km(片道) / EuroVelo 1

    EuroVelo 1 北上:トゥイ → サンティアゴ・デ・コンポステーラ

    2026年4月にガリシア区間が延伸されたEuroVelo 1の一部。トゥイからカミーノ・ポルトゥゲスに沿って北上し、緑の田舎道、石造りの村、巡礼者の宿(アルベルゲ)を繋ぎながら約120kmでサンティアゴ・デ・コンポステーラへ到達します。巡礼路と自転車ルートが重なるため、道標がよく整備されており、初めての長距離ライドにも向いています。サンティアゴからさらに西のフィステーラ(地の果て)まで続けることもできます。

    EuroVelo 1(大西洋岸ルート)が2026年4月にガリシアへ延伸され、トゥイはスペイン側の出発点になりました。南はポルトガルのヴァレンサから続くEV1ポルトガル区間と接続し、北はフィステーラまでの537kmが新たに加わっています。国際橋を渡ればEV1のポルトガル区間に合流でき、ポルト(約100km)やリスボン(約400km)方面へも繋がります。

    アクセスと交通

    最も近い主要空港はポルトガルのポルト空港(OPO)で、トゥイから約60km・車で約50分。次いでスペインのビゴ空港(VGO)が約25km・約20分。ポルト空港からはリムジンバスやタクシーでの移動が便利です。直行の公共交通機関はないため、ポルトやビゴで乗り換えが必要です。自転車の場合、ポルト空港から輪行袋に入れてバスや電車で移動するか、ポルト中心部まで出て組み立て、そのまま走ってトゥイを目指す選択肢もあります。

    トゥイ駅(Estación de Tui)からRenfe近郊線でビゴ・グランデまで約30分。ビゴからはマドリードへのAVEやサンティアゴ・デ・コンポステーラへの列車が出ています。ポルトガル側のヴァレンサ駅からもCP(ポルトガル鉄道)でポルトへのアクセスがあります。スペインの近郊列車(Cercanías)は折りたたみ不要で自転車をそのまま持ち込め、時間帯の制限もほぼありません。ただし自転車持ち込み条件は変更される場合があるため、利用前にRenfe公式サイトで確認してください。

    旧市街はコンパクトで徒歩が基本。石畳の坂が多いため、自転車は川沿いの平坦エリアに置いて旧市街を歩いて登るのが現実的です。市街地はほとんど自転車でまわれる規模で、国際橋や川沿いの道は自転車に優しい環境です。

    ベストシーズン

    春(4〜6月)と秋(9〜10月)がベスト。気温15〜22℃で過ごしやすく、緑が鮮やかなガリシアの田舎道を気持ちよく走れます。ガリシアはスペインの中でも降雨量が多い地域(「スペインの緑の角」と呼ばれるほど)で、夏でも雨が降ることがあります。冬(12〜2月)はランプレアの旬で、食目的の旅としては面白い時期。気温は10℃前後で、巡礼者はぐっと少なくなり静かな旧市街を歩けます。カミーノの混雑を避けたい場合は秋〜冬がおすすめです。