イギリスの田舎を走る旅2017 Day1 ストラトフォード=アポン=エイヴォン

シェイクスピア生誕の町

2017年の自転車旅行の出発地は、ストラトフォード=アポン=エイヴォンにしました。

「ブルータスよ、お前もか」と「ジュリアス・シーザー」に書いたシェイクスピアが生まれた町で、生家が残ってます。ストラトフォード=アポン=エイヴォンとは、「道路がエイヴォン川の浅瀬を横切る場所」という意味。この「道路」とはカエサルの故国、古代ローマ帝国が今から約2000年前にイギリスに造ったローマ街道のことを指すサクソン語、「エイヴォン」とは川を意味するケルト語。

著者カエサル

この地名に名残がある通り、古代ローマが海を渡って初めてイギリスにやって来たのがジュリアス・シーザー、カエサルで、紀元前のことです。当時カエサルが書き残したガリア戦記には、約800隻の大船団でドーバー海峡を超えてきたことが書かれています。

カエサルの時代から約90年ほど後、皇帝クラウディウスの時代に、ローマは四万の兵力でイギリスに本格的に侵攻して、それまでのケルト人の住む場所を次々と征服していきます。

ローマが興味を惹かれるのは、戦争中から軍や物資の輸送を目的に、次々に現地に舗装路を作って、戦後もそれを輸送や交易のインフラとして維持し続けたこと。このローマ人が造った道路が、イギリス国内だけでも総延長3,200kmあったそうなので驚きなんですけど、そのうちのひとつが、ストラトフォード=アポン=エイヴォンの地名になっている「道路」のこと。町の中心にかかるクロプトン橋が、ローマ人が造った道が通っていた場所にあたるんだそうです。

ストラトフォード=アポン=エイヴォンは、ローマがイングランドから撤退した後にアングロサクソン人が築いた町なので、当時は原野の中をただ道が通るだけの場所だったのかも。

クロプトン橋へ

意外とこじんまりした駅から町の中心へ向かいました。

駅からまっすぐ東へ走ると、そう遠くないところにクロプトン橋はありました。ここが町の名前の由来となった、「エイヴォン川に道路が横切る」ところ。2000年前は、ローマの幹線だったIcknield StreetとFosse wayを結ぶ支線として道路が通っていた場所です。

この右手は川辺の公園。写真では暗く見えますがまだまだ明るくて、花壇に彩られた水辺の景色が印象的な場所でした。

ロンドンの乗り換えなどで手間取って、もっと遅い時間の到着も覚悟していましたけど、明るいうちに走ることができて良かった。来る前は治安が心配でしたけど、まったくそんなことはなくかなり良い感じなので、日が暮れる前に、町中を少し散策してみました。まずはクロプトン橋から少し駅側に戻ったシェイクスピアの生家。

その後は、もう一度橋の方へ戻ってシェイクスピアカンパニーの劇場前へ。

ここでは「ジュリアス・シーザー」も定期的に上演されているはずですけど、この日はポスターはありませんでした。

30分もあれば自転車でぐるっと一回りできる小さい町。19:30を過ぎて暗くなって来たので予約していたホテルに向かいました。

9月とはいえ寒い日で、ホテルに入ると暖炉に火が入っていました。これは嬉しい!

チェックイン後、ホテル近くのGarrick Innというパブへ。Ancient Houseと呼ばれた16世紀に建てられたハーバードハウスのお隣です。このあたりが町の中心なのか、お店も人出も多いです。店内にはストラトフォード=アポン=エイヴォンでもっとも古くからあるパブと書いてありました。このお店自体も、ハーバードハウスと並んでこの町の中で一番古い建物で、一部は14世紀に建てられたとのこと。

とりあえずは、予定通りの時間に初日の目的地に到着したので、翌日からのスタートを祝って1人乾杯です。2014年にドイツのコブレンツに着いたときも、ホテル横のバーで一人乾杯した自分。旅行初日は、ホテルに着くまでは意外に緊張しているので、ホテルに着いた後のこの瞬間は安心感に包まれた気分に!

何も考えずにビールを頼んだら、店員さんがシェイクスピアなんとやら、という銘柄だと教えてくれました。

注文した料理はソーセージ。写真じゃ分かりにくいですが、ソーセージが大きい。ソーセージにマッシュポテトの一皿にビールがよく合う。思うに世界中どこでも料理に困った時はソーセージさえ頼んでおけば絶対ハズレはありません!

翌日からは、いよいよイングランド自転車旅です。

昔はローマの一部だったイギリス