ドイチェス・エックからライドスタート
9月14日朝。これからスタートするというワクワク感と緊張感のおかげで5時前には勝手に目が覚めました。ホテルの朝ごはんは7:00からだったので、一番で食堂に入ってパンや生ハムなどを食べたあとは、荷物をまとめていよいよ出発です。ドイツのホテルの朝はだいたいビュッフェで、イギリスに次いでよいね。
ホテルを出たのは8:00。
まずはライン川とモーゼル川が合流するドイチェス・エックに向かって、まだ人通りの少ない町中を駅から北へ。天気は曇り、気温は朝でも18度くらいでペダルを回すにはちょうどいい。
ほんとうに誰もいない。
時間が早いからなのか、日曜だからなのか、ドイチェスエックにはほとんど人がいなくて、たまに散歩をする人とすれ違う程度。広場にはというドイツ帝国の初代皇帝ヴィルヘルム1世の像が立っていて、これを背にすると右手からライン川が、左手からモーゼル側が緩やかに流れて目の前で1つになります。父なるラインと母なるモーゼル。
日本は地形の起伏が激しいのでどの河川も急流なのに比べてこっちの川は流れが緩やか。川を眺めていると違いがよく分かる。コブレンツは古代ローマ帝国の軍団の駐屯地が町のはじまり。カエサルがガリア戦線を戦っていたとき、右岸のゲルマン側橋を掛けたのはここから少し下流あたりなんだそうだ。その後の時代には、ライン川を遡ってきたバイキングに襲撃されているし、ハンザ同盟にも加わったりで面白い町。
下流に向かって左から流れ込んでくるモーゼル川の流域は、ドイツ最古の町トリーアやモーゼルワインなどが特に有名で、源流はフランスのヴォージュ山脈です。この数日後にはヴォージュ山脈東側のアルザス地方を走る予定ですが、この日はここコブレンツから40kmほど上流のザンクトゴアという町まで行き、キャンピングプラッツ・ローレライブリックというキャンプ場に泊まり、そのままライン川を遡ってアルザスへ行く予定です。
写真にもありますが、リアキャリアに全ての荷物を詰め込んだ防水バッグを載せての長距離移動。キャリアの様子を確認しながらのんびりサイクリングでスタートを切りました。こう見るとかなり不格好。だんだん荷物が減っていくともう少しスマートになるんですけどね。
ライン川の対岸にはエーレンブライトシュタイン要塞が見える。ロープウェイで行くんだよね。1000年前に建てられた要塞で、今はユースホステルにもなっているそうで。
モーゼル川側の対岸はなんとキャンプ場。町のすぐそばにあります。
ドイチェス・エックからライン川沿いに、サイクリングロードはまっすぐ伸びています。
世界遺産ライン渓谷中流上部のサイクリングロード
この日から2日間かけて走るライン川沿いは、コブレンツからリューデスハイム、ビンゲンまでのエリアが世界遺産に登録されていて、景色ばかりに目が行く。コブレンツの市街地を抜けると、しばらくは右手に丘陵、左手にライン川を行き来する船を眺めながらのライドです。
シュパイからボッパルト
一番困るのはトイレ。この時は道沿いにあったガソリンスタンドに寄って、軽食やドリンクを買い用を足しました。
蛇行する川に沿って走ると、10:00には鐘の音が賑やかなボッパルトに到着しました。
ライン川はクルーズのめっか。ここもクルーズの拠点になっているよう。そのボッパルトでは鐘の音に誘われて町の中へ。
ボッパルトを散策して出発。11:00過ぎには目的地のザンクトゴアへ着きました。
ローレライ伝説の岩山
ローレライキャンプ場はザンクトゴアからすぐ。自転車で5分もかからないところで、レセプションでチェックインを済ませたところ、テントを張る場所はどこでもいいとのことだったので、ローレライの岩場の真正面に設営することにしました。すぐ目の前をクルーズ船や貨物船が行き交い、なかなか壮観な景色!
空腹だったので、サニタリーでシャワーを浴びた後、キャンプ場近くのレストランで豚肉の揚げ物にマッシュルーム沿え、ピザにビールを頼んでランチ。ほろ酔い気分でテントに戻って川を眺めながら横になっていたら知らない間に眠ってしまいました。
目覚めると両隣にキャンピングカーが止まっており、そこから「Gooood Morning!」という声が。片側はデンマークの方で夫婦でイタリアまで行ってデンマークへ帰る途中とのこと。反対側の方はオランダからとのこと。自転車旅の途中だと告げると、ドナウ川沿いが素晴らしいので是非行くといいとオススメされました。
ローレライは水の妖精が船を沈めるという伝説が残る場所。現代では大型船も航行できる川幅になっていますが、この写真の右手で急激に川が岩山の奥に曲がっており、昔は急流の難所だったことが伺えます。
午後からは、対岸のザンクト・ゴ アールス ハウゼンまで渡し船で渡ってポタリングを楽しみ、帰ってからは川面を眺めながらビールを飲み、夕食は昼にオーダーしすぎて食べきれずテイクアウトした食事をとったり、夜は昼とは違うレストラン(Hotel Loreleyblick)でコーヒーを飲んで温まったりして、早めに寝袋に入ったまではいいですが、川に近すぎて夜中は目と鼻の先を航行する貨物船が出すエンジン音で何回か起こされました。