3日目の朝はポルトガルらしくない小雨。夜中に雨粒がテントを叩く音がしていたのはなんとなく覚えていたのですが、朝起きてみると外は小雨。少しテンションが下がる中、片付けと準備を終え、キャンプ場をチェックアウトして出発しました。この日の目的地はナザレ。
ナザレへ
ペニシェは海に突き出た町で、キャンプ場はその根元。朝キャンプ場を出発して、海沿いの道を走っているのに霧雨で何も見えません。写真左手はずーっと海のはずなのに。
吹き付ける風のせいでサングラスが役に立たないくらいでした。
なにか胃に詰め込まないと走れないので、走り始めから少し先にあった地元のカフェで朝食を摂ることに。パンとバナナとコーヒーを頼んでみたものの、気持ち悪さのせいでパンは喉を通らず、あまり補給にはなりませんでした。こんなんで大丈夫か？と不安になった瞬間です。
この日はオビドス湖の先になる海辺の町ナザレが目的地。
ガーミンに入れてあった予定のコースは、オビドス湖や森林地帯を大きく回り込んでいくルートです。ただ、あまり距離を走りたくないので、少し楽をしようと予定のルートを無視して、eTrexのマップを見てショートカットしてみることにしました。
マップを見ると、山のほうに入り込んでいくとショートカットできるはず。
相変わらずの天候で、霧が立ち込める山道を一人で延々と走っていると、だんだんこの道でよかったのかと不安な気持ちになります。
誰も通らない、来ない山。
やっと峠を越えて反対側に下り、ちゃんとした道に合流できると思ったら・・・。
高い塀が邪魔して道路に入ることができない！
地図を拡大してよーく見てみると・・・たしかに繋がっていませんでいた。今越えてきた山を戻らないといけないと悟った瞬間。
ショートカットするつもりが、結局この日の午前中は地図とにらめっこしながら、山と森の中をさまようことになりました。素直にガーミンに入れていたコースを進めばよかったのに。ただ、今から思えば、霧の山道の中何事もなく帰って来られたことだけは本当によかった。
写真はまだまともなグラベルですが、山に分け入ると大きい石がゴロゴロしていて、走れないところも。
これはまずいと思ったので、山道から無理やり出たら、Bom Sucesso Resortというプライベートリゾートの敷地に入り込んじゃった。それでもこれで一安心。このリゾート地の職員の人に道を教えてもらってコースに復帰しました。
まだ体調(胃)は最悪。山道の振動がいけなかったのか、胃が余計にムカムカしてしょうがないので、ナザレまでは一番近い駅カルダシュ・ダ・ライニャ(Caldas da Rainha)駅まで走って、そこから輪行することを決断。ナザレまでたった30km弱なのに。
駅に着いて時刻表を確認すると、次の電車までに2時間ばかりあったので、駅近くのカフェでネクターを買って飲み、町中のポタリングもせずに寝転がってベンチで横になってました。
ところで、カルダシュ・ダ・ライニャ(=Queen’s Spa)は、温泉が出るのでかつてはローマ帝国の浴場もあったところ。一度廃れたものの15世紀の女王が新たに温泉保養施設を建設して町はこの名前になったとか。15世紀といえば時代はポルトガルの船団が喜望峰に到達する頃のこと。もう一つ、今回行けなかったカルダシュ・ダ・ライニャ駅の1つ前のオビドス。城壁に囲まれた観光の町で、昔はポルトガル王室ゆかりの地。でももっと遡ると、ローマ帝国の時代よりもっと前、最初はケルト人が作った町です。昔はこのヨーロッパの端っこにもケルト民族がいたんだなぁ。
ナザレに行くには、ここからはローカル線でヴァラド(ヴァラド・ドス・フラーデス)駅まで輪行。このローカル線は車両の一番最後尾に自転車を載せる貨物室があるタイプでした。
ヴァラド・ドス・フラーデス駅到着。乗ってきたブルーの2両編成の列車を見送りました。急に天気が良くなってきました。
ところで、ポルトガル鉄道CPは日本のストアでもスマホアプリをダウンロードできるので、チケットの購入や予約も簡単にできます。自転車を放置して窓口に並ぶ必要がないですし、こういう体調がしんどいときもすぐチケットが買えるので楽です。
駅から約5km走ってナザレに到着。
輪行中にExpediaで予約していたホテルに直行し、倒れ込むようにベッドに横になって2時間くらい休息。
目覚めると、なんと2日ぶりに空腹を感じたので、晩御飯を食べにナザレの町へ出ました。町の前に広がるとにかく広いビーチ。そのビーチ沿いの通りはレストランや雑貨屋が立ち並んでにぎやかな雰囲気でした。午後に少し晴れたのに夕方になってまた曇り空。割と変わりやすい天気です。
でもそんな曇り空が似合う景色もここにはあります。
ポルトガルに来て3日目。迷った挙句、この日の夜も寿司に来てしまいました。この時点で未だポルトガル料理にありつけず・・・。
が、このお店にしてよかった。カップに入ったお味噌汁の出汁が胃に優しくて美味しい。それにちゃんとわさびとガリもある。(聞いてみるとシェフは日本に来たことはないらしいです。)
注文したのはこれ。なんとかこれくらいの量は食べられました。
この年の自転車旅は旅程が短いので、翌日ポルトへ移動、そしてまたリスボンに引き返して帰国する予定。あとはほぼ輪行になるので、実質的に自転車旅はここで終了です。
結局自力で走ったのはたった3日で、カスカイスからカルダシュ・ダ・ライニャまで。距離は全然走ってないですが、ポルトガル の太陽と大西洋に面するビーチと風、道路はどこも印象に残るものとなりました。