2014年、ピナレロ・ガリレオで初のEuroVelo旅に。この時の経験をもとに、自転車と荷物の運び方を根本的に見直すため、新しい自転車とキャリアを探すことにしました。(2016年のことです。)
新しい自転車に求める条件
ヨーロッパを自転車と鉄道で旅行する、という目的に的を絞ることで自転車を選ぶ条件がシンプルになりました。普段の街乗り、通勤、通学に求めるのとほぼ似たような条件ですが笑
- アルミフレーム・・・飛行機輪行や鉄道輪行でのトラブルをなるべく避けるため。荷物をたくさん取るつけることができるように。
- 28c以上のタイヤ・・・石畳やグラベルを安心して走ることができるように。
- ディスクブレーキ・・・重い荷物で雨が降ってきても安心して走れるように。
- バイクパッキングできる車体・・・2014年のリアキャリア装着から本格的なバイクパッキングスタイルにすることにしたため、ケーブルがフレームの中を通るなどバッグの邪魔にならないように。
1日に走る距離はせいぜい100km前後。ここ何年かで、ロードバイクも目的によって種類の細分化が急に進んでいますが、アルミのディスクブレーキという点で、選択肢は最初からかなり絞られます。候補となったのは10台。
候補に挙げたバイク
エンデュランスロード
今でもそうですが、正直なところエンデュランスロードの定義がよく分からない。太いタイヤを履けるディスクロードという程度の認識。
ただタイヤの太さはかなり重要で、色々な路面でも走破できそう。それと、これに分類される完成車のクランクは50/34が多く、平坦を早くガンガン走るというよりは、林道、山道、農道をどこまでも走る、というイメージです。
TREK DOMANE ALR4 DISC
シルバーカラーがシンプル。実はこういうのがすごく好み。コンポはTiagraです。
- 価格 199,000円(税抜)
- コンポ Tiagra
- クランク 50/34
- タイヤ 32C
- ブレーキ 油圧式
- ホイール スルーアクスル
- ケーブル フレーム内蔵
キャノンデール SYNAPSE DISC 105
これも同じくシンプルで飽きないカラー。コンポは105なのにこの価格。タイヤは細めです。
- 価格 165,000円(税抜)
- コンポ 105
- クランク 50/34
- タイヤ 25C
- ブレーキ 機械式
- ホイール QR
- ケーブル フレーム内蔵
グラベルロード
続いてグラベルロードというカテゴリに分類されるもの。これもちゃんとした定義がよく分からない。雑誌やネットでもこの辺はかなり曖昧で、ブランド側の売り方次第と書かれてあることも。(2016年時点。)
キャノンデール SLATE APEX 1
前輪はLEFTYフォークで、片側だけというところがキャノンデールらしいバイク。ロードというよりはむしろオフロード向きのバイク? ショップで実物見ましたが、迫力はすごいです。
コンポはSRAMの低グレードコンポ。SRAMと聞くとMTBを連想するので、グラベルロードというのは、エンデュランスロードに較べるとMTB寄りなんでしょうか。下みたいに。
- ほぼ舗装路 →ロード
- 舗装路>悪路 →エンデュランス
- 悪路<舗装路 →グラベル
あと、他の候補と比べるとちょっとお高い。
- 価格 222,000円(税抜)
- コンポ SRAM Apex1
- クランク 50/34
- タイヤ 42C
- ブレーキ 油圧式
- ホイール リア スルーアクスル
- ケーブル フレーム内
GT グレードアロイ 105
KONAなどと並ぶグラベルロードの代表格。コストパフォーマンスが良いです。105でこの価格! こっちはタイヤは32Cですね。
- 格 148,000円(税抜)
- コンポ 105
- クランク 50/34
- タイヤ 32C
- ブレーキ 油圧式
- ホイール 不明
- ケーブル フレーム
シクロクロス
COLNAGO A1-r CX 105
COLNAGOのシクロクロス。前年までラインナップにあったWORLDCUPの後継的位置付けで、真っ先に候補に挙げたバイク。
- 価格 195,000円(税抜)
- コンポ 105
- クランク 46/36
- タイヤ ?
- ブレーキ 機械式
- ホイール QR
- ケーブル トップチューブ上
キャノンデール CAADX TIAGRA
候補の中で最も低価格。安いというのはありがたい。
- 価格 140,000円(税抜)
- コンポ Tiagra
- クランク 46/36
- タイヤ 35C
- ブレーキ 機械式
- ホイール QR
- ケーブル フレーム内
CINELLI ZYDECO 105
これもデザインが秀逸。
- 価格 190,000円(税抜)
- コンポ 105
- クランク ?
- タイヤ ?
- ブレーキ ?
- ホイール ?
- ケーブル トップチューブ上
SCOTT Speedster CX 20 DISC
黒と赤のカラーがすごく好み。珍しくBB、クランク、ブレーキなどのパーツにもShimano製が使われています。これは割と好印象。
- 価格 155,000円(税抜)
- コンポ Tiagra
- クランク 48/34
- タイヤ 35C
- ブレーキ 機械式
- ホイール QR
- ケーブル フレーム内
FELT F65x
これも個人的に好きなタイプ。
- 価格 178,000円(税抜)
- コンポ Tiagra
- クランク 46/36
- タイヤ 33C
- ブレーキ 機械式
- ホイール QR
- ケーブル フレーム内
ディスクロード
COLNAGO A1-r DISC 105
ディスクブレーキ仕様のロードバイク。アルミバイクにしては価格が高いのと、太いタイヤを履けない(多分)ことがネック。普通のA1-r 105にディスクブレーキを載せているのでこれくらいになるのはしょうがないか。キャリパーブレーキとディスクブレーキ車の価格差4〜5万というのは、TREK ALR4 DISCも同じ。
- 価格 190,000円(税抜)
- コンポ 105
- クランク 50/34
- タイヤ 25C
- ブレーキ 機械式
- ホイール ?
- ケーブル ?
いろいろ迷って車種決定
アルミフレームだと、どのブランドもほぼエントリーバイクが中心です。
コンポは105かTiagra。手持ちのパーツをベースに載せ替えもできるので、これはどっちを選んでも大差ないはず。その観点でいうとキャノンデール SLATE APEX 1は脱落。
次にタイヤ。タイヤも太いのに履き替えすればいいのですが、SYNAPSE DISC 105とCOLNAGO A1-r DISC 105は、フレームとタイヤのクリアランスが取れず32C以上は履けないようなので、候補から外しました。前回(2014年)は25Cで走りましたが、石畳の上では心もとないこともあったので、32C〜35Cあたりを履けるものが希望。
10台中7台に絞ったところで、ショップ巡りを開始しました。(候補に挙げたうち、7台はショップ巡りをして実物を確認することができました。)
イタリア御三家が好きな自分としては、この時点でコルナゴのシクロA1-r CXが第1候補で真っ先に実物を確認しに行くことに。在庫有無をショップに電話しまくり、1ヶ所だけ展示があると分かった店舗に出向き、実物を見たところイメージしていた通りかなり格好いい! かなり格好いいのですが・・・、ケーブルがトップチューブ上を通っている、スルーアクスルではなくQRというような仕様の古さで、候補の中では一番高い価格とのバランスが気になりました。高い買い物ですからね。
特にケーブルは、バイクパッキングスタイルでフレームバッグを取り付けようとすると干渉する可能性が高いので、即決に至らず。その後帰宅して熟考した結果、泣く泣く候補から外すことにしました。ちなみに同じコルナゴのシクロクロスでも、上位のカーボンモデルPrestigeは、ケーブルルーティングはフレーム内蔵かつスルーアスクルです。実は似たような理由で、ZYDECO 105も候補から除外。
この時点で残っているのは5台。
- Trek Domane ALR4 DISC
- GT グレードアロイ 105
- キャノンデール CAADX TIAGRA
- SCOTT Speedster CX20 Disc
- FELT F65x
Domane ALR4 DISCはスペックと価格のバランスがすごくよくてデザインもシンプル。スルーアクスルかつ油圧式ディスクというこれらの中では高スペックなあ仕様で、逆にいうと価格が頭ひとつ高いので除外。CAADX TAGRAは実物を見たらキャノデールらしいカラーリングがきつすぎたため除外。GTは独特のフレームデザインが苦手で除外。
仕様上こんなものなんでしょうが。GTは、もうひと押し何かあれば即決だったのに、なんとなく決め手に欠けて一旦保留。
残ったのはSCOTTとFELTのシクロクロスになりました。ショップの店員さんにあれこれ聞きながら迷いに迷った末、残った2台のうちから、デザインの好みとパーツのShimano比率の高さで選んだのがSCOTT Speedsterです!
予定通りフレームはアルミ。飛行機や鉄道の輪行で多少の衝撃があっても大丈夫。完成車時点で35Cのブロックタイヤをはいているので、どんな悪路でも走れそう。そしてディスクブレーキ。これで突然の雨に見舞われても安心です。コンポはTiagraですが、これでも十分。1グレード低いSoraのようにSTIからケーブルが触覚タイプに伸びていないので、フロントバッグが付けられないなんてこともありません。この自転車なら、普段乗り用としても全く問題ない!
番外編
Cannondale CAADX Sora(国外モデル) 849.99ポンド
このCAADXは日本では未発売。コンポはSoraですが、かなり購入意欲が高まり、イギリスの通販サイトや、イギリス国内のキャノンデールのディストリビューターに問い合わせをしましたが、自分に合うフレームサイズがどこも在庫切れで、入手することは叶いませんでした。
購入
候補の中から選んだSCOTT Speedster CX20 Disc。車種が決まったところで、次はフレームサイズを決めなければ。SCOTTが出している適応身長を見ると、カタログスペック上はSサイズ、Mサイズの2サイズが適合することになります。どっちがより体に合うか、まじめにジオメトリを見ることにしました。
まずはトップチューブ長
まずチェックしないといけないのがトップチューブ長。厳密にはシートチューブとヘッドチューブ間の水平距離のことです。
これは個人の身長、胴長、腕の長さなど体型に依存するので、今回はショップで実際に自分の体を計測してもらい、推奨トップチューブ長を計算してもらいました。
結果、ぼくの推奨トップチューブ長は528mm。
さっそくバイクのジオメトリ表でトップチューブ長を確認してみると、Sサイズが505mm、Mサイズは525mm。これだけを見ると、Mサイズのほうが適合しているように見えます。
実際、計測してくれたショップではSでもMでもどっちでもいいかもねという反応でした。
フレームはトップチューブ長だけで判断してはダメ!
ラッキーなことに、ちょうど系列の別店舗にMサイズの在庫があると聞いたので、実物を押さえておいてもらい、直接確認することにしました。
後日そのフレームに跨ってみたところ・・・感覚的にどうも大きい・・・。トップチューブを跨ると股下ぎりぎりくらいで、確かに乗れないサイズではない。でも大きい。実車で確認することができた結果、普段乗ってる1号機と比べて違和感を感じました。
続いてハンドル落差
ロードバイクは、サドルの高さと比べてハンドルが低い状態で最適フォームをフィッティングしますが、この時のサドルとハンドルの高さの差がハンドル落差。適正なハンドル落差は、個人差がありますが一応計算式で求めることができます。
まずサドル高。BB中心からサドルまでの距離で、股下サイズを基準に計算で求めることができます。
サドル高 = 股下サイズ × 0.88
(初心者と上級者で若干数字は変わります。)
本来はこれを基準とし、クランク長やシューズなど他の要因を織り込んで最終的にサドル高を決めますが、これが多少上下しようが、ハンドル落差の数字にものすごく大きな影響が出るわけではないと思うので、フレームサイズを選ぶ程度のポジションの確認にはこの数字をそのまま使って問題ありません。
ちなみに、ぼくのサドル高さは計算上660mm。これまで実際にショップでフィッティングしてもらったときもぴったり660mmでした。
このサドル高から、適正なハンドル落差を求める式がこれです。
適正ハンドル落差 = サドル高 × 0.097
ぼくの場合、サドル高660mmに0.097をかけると64mm。つまり、サドル上面からハンドルが64mm下がっている状態が最適ということです。
ちなみに、このハンドル落差が大きい=ハンドルが低い状態だと前傾姿勢がきつくなり、逆に小さい=ハンドルが高いとよりアップライトで楽な姿勢になるので、前者はレース向き、後者はツーリング向きというのが一般論。この時、フレームサイズの違いで適正な落差を出せないことがあります。
車体の最大落差
最大落差とは、そのフレームが出すことのできる最大のハンドル落差のこと。スペーサーなどを除いて、ハンドルを一番下まで下げた時の落差です。これは、垂直サドル高からハンドルまでの距離で、自転車のジオメトリ表にStackという項目があればすぐに出せます。StackとはBBからトップチューブ上面までの垂直高さのこと。
ぼくが選んだ自転車のSサイズとMサイズを例に最大落差を出してみます。まず、垂直サドル高はサドル高を元に三角関数で計算します。
垂直サドル高 = サドル高 × sin(シートアングル)
実際に垂直サドル高を出してみると、660mm × sin(70°) = 636mm。これをもとにハンドルの最大落差を計算しますが、式はこれです。
最大落差 = 垂直サドル高 - Stack - 30mm(目安)
ジオメトリ表にStackの数字が出ていてSサイズは521mm、Mサイズは545mm。つまりSとMではトップチューブまでの高さが25mmも違います。
最後の30mm(目安)は、トップチューブ上面からハンドルクランプの中心までの高さで、ステムなどの分にあたります。これはフレームによって違いますが、大体20mm〜30mm程度になると思います。これらの数字で実車の最大落差を計算するとこうなりました。
- Sサイズで出せる最大落差 636mm - 521mm - 30mm = 85mm
- Mサイズで出せる最大落差 636mm - 545mm - 30mm = 61mm
最初に出した自分の適正落差は64mm。
Mサイズはハンドルを一番下まで下げたとしても、適正落差64mmに達しないということになり、この時点でMサイズという選択肢はないということがわかります。Sサイズは20mmのスペーサーを挟むと最適な落差になります。
補足しておくと、Speedster CX20 Discの完成車には40mmのコラムスペーサーが挟まっていたので、Sサイズのハンドル落差は45mm。納車時点では多少アップライト気味の姿勢になります。
サイズが微妙なときはさっと計算しておくと安心できます。色々相談にのっていた頂いたショップの店員さん、本当に参考になりました。色々ありがとうございました。
納車編
ついに納車
サイズをあれこれ悩んでみたものの、決めてオーダーしてからは約1週間で納車。諸々手続きをした後、ブレーキの利きや変速のチェック。持ち込んだペダルやライトを取り付けてショップを出ました。出る前に店員さんに聞いたらタイヤの空気圧は70〜80PSIでいいとのこと。意外に低い。
自転車に跨ってみると、やっぱり大きさはピッタリで扱いやすい。フレームサイズは小さめで、トップチューブはスローピング。蹴り出して乗ったところ、乗り味はアルミらしい固め。タイヤが太いせいか進みは遅く感じるものの、妙な安心感はある。これでグラベルでも林道でも山道でも泥道でもなんでもこい!という感じ。
ショップを出て、ゆるゆる走りながら自宅まで帰りました。
自宅にて。黒と赤とグレーのカラーです。35Cのブロックタイヤなので迫力があります。スリックに変えてグラベルロード的に乗ることもできそう。
ディスクブレーキはシマノの機械式BR-R317。今日のところはたいしてスピードを出していないので、制動力の違いが分かるまではいきませんでしたが、利きはいいです。
この自転車の詳細はまたいずれ。
そういえば、ショップにオルトリーブのハンドルバーパックとサドルパックがありました。手にとってみたろころとても軽い。次はバイクパッキング用のバッグ類かアクションカメラを揃えようと思います。
試しに都内のグラベルを走ってみた
シクロクロスSpeedster CX20の走破性を実感できる悪路を試走してきました。
都内にそんな道あるのか。そう、あるんです。多摩サイの左岸、丸子橋から二子玉川の区間。多摩サイを走るときは、この区間はわざわざ右岸へ迂回しないといけません。まだ自転車に乗り始めの頃、知らずに23Cのタイヤでここに突っ込んでいき、なんだよ!ここは!と悪態をついた道。CX20なら軽々走れるに違いない、ということで実際に走ってきました。
多摩サイ左岸のグラベルロード
スタートはここ。田園調布の裏、巨人の旧多摩川グラウンド脇。水辺に松の木、草地があって静かな場所なので、ちょっと気分転換したい時にたまに来ていた場所。
下流は丸子橋。目の前は草地。
未舗装路はたった4km程度ですが、ここからスタートです。小道と草地を交互に走ってもへっちゃら。
轍から雨水?が染み出してだんだん泥道に。それでもペダルを漕ぐとぐんぐん進めます。23区内にこんなところがまだあるのね。それをいうと、ここからすぐの等々力渓谷もそうですが。
写真左手はゆったり流れる多摩川。
泥道を走ったので、タイヤはこうなりますが全く問題なく走れる! ロードで走れなかった(走りたくなかった)場所が普通に走れることにちょっと感激。
なんだこの安心感は!
泥道から砂利道、また泥道へ。水たまりもなんのその。まっすぐ突き進んでも、小石がパンパン跳ねても平気。タイヤが太いってこういうことなのか。パンクの3文字が頭をよぎることさえありません。これなら険しい山道以外ならどこでも走れそう。
あっという間に二子玉川ライズの高層マンション群が見えてきました。
この先にはもっと小石だらけの区間があるので、そこだけ走って見たいと思い、進んだら二子玉川駅に着いてしまいました。
おかしいな。昔はこの辺りは一面の砂利で、その中に小屋のようなスタバやカフェがポツンとなかったっけ? 再開発でなくなったのかな? 記憶違いかな。
その後
2016年から乗ってきたシクロ、自分の体に馴染んで乗りやすかった1台。5年間の思い出が尽きませんが、最後にきれいに掃除とメンテをして、無事にお譲りすることができました。
ドイツ鉄道のローカル線を降りたのはマイン川のほとりのビュルツブルク。
— てつたろ@eurotraveler (@eurotravelerjp) May 25, 2021
エルベ川サイクリングロードと並んでドイツで人気が高いらしいマイン川サイクリングロードをここから少し走ってみた。
マイン川CRはEuroVelo4のルートにもなってるのでいつかきっと戻ってくるぞい。#eurovelo pic.twitter.com/JiFxrr2Ixu